建設業は融資が受けにくい?知っておきたい建設業の運転資金の計算方法

一般的に建設業は運転資金の融資を受けるのが難しいと言われています。しかし、建設業は仕事を請け負ってから入金まで時間がかかる工事案件も多いので、銀行から融資を受けたいという場合も多いのではないでしょうか。本記事では建設業がなぜ融資が受けにくいのか、銀行から融資を受ける際に必要な運転資金の計算方法について説明します。

 

【銀行は建設業の何に着目して融資しているのか?】

通常、銀行から融資を受ける場合は設備資金、運転資金という2つの種類があります。このうち、設備資金は比較的、事業の長期的な収益に着目した融資の方法であるのに対して、運転資金は日々の売掛金や買掛金などキャッシュフローに注目して融資を行います。

建設業の場合、料金は後払いになることが多く、更に工事の最中は雇っている大工に払う人件費や建築資材の材料費、外注の職人に払う外注費などを立て替えなければならないので、運転資金の需要は大きいと言えます。

しかし、その必要な運転資金を算出することは少し大変です。運転資金の計算方法は一般的に「売上債権+棚卸資産-買入債務」という式で算出できます。小売のような業種の場合、季節指数を読み込めばある程度、未来の棚卸資産や売上等を予想できるので運転資金を算出できるのに対して建設業は運転資金を予想することが困難です。工事一件、数百万円、数千万円という案件もザラにありますので、一件受注しただけで必要な運転資金が数百万円単位で変わることになります。

よって、銀行は建設業に対して融資を行う場合は特に会社全体ではなく、個別の工事一件、一件に対して必要な運転資金を算出して融資することになります。つまり、通常の企業なら運転資金の中で未来の受注に必要な広告宣伝費や営業経費を融資してもらいやすいのですが、建設業の場合は工事一件、一件で運転資金を算出する傾向が強いのでこのような費用が認められにくい傾向にあります。

【なぜ建設業は銀行から融資が受けにくいのか?】

運転資金の計算方法上、個別工事に必要な運転資金の融資以外を運転資金として融資されにくいということ以外にも銀行から融資を受けにくい理由は存在します。その理由の1つとして挙げられるのが突発的な倒産が発生しやすい業種であることです。

運転資金の計算方法上、返済原資があっても必ず融資を返済できるわけではありません。特に建設会社はプロジェクトが長期にわたることも多いので他の業種よりも売掛金を貯めこみやすい傾向にあります。よって、プロジェクトの上流の会社が倒産すれば、その余波は売掛金の未払いや手形の未回収になり下請け企業の資金繰りを圧迫して連鎖倒産が発生します。特に建設業界の業績は景気に大きな影響を受けて安定しにくいので銀行から見れば長期的な融資はリスクが高くなります。

【建設業の経営者・経理担当者はどのように運転資金を計算すべきか】

以上のようなことを踏まえた上で経理者や経理担当者はどのように運転資金を計算するべきでしょうか。まず重要なのは個別の案件をきちんと整理することです。建設業は先ほど説明したとおり個別の工事毎に運転資金や採算性を管理した方が良いでしょう。
個別の工事によって、工期や必要な原材料も代金を受け取るタイミングも違うはずなのできちんとどの位の原価が発生して、そのうちどの位を銀行から借りたいのかを明確にしてください。

また、個別の工事毎にかかる運転資金とは別に建設業では共通の運転資金は発生します。例えば事務所の家賃や経理担当の給料などは個別の工事の運転資金には反映されませんが、建設業の運転資金として重要です。これらの各工事で共通して発生する固定費は費用として決して小さいわけではありません。ただし、バックオフィスの運転資金だけを融資して欲しいというのは返済原資が明確にならないので融資を受けにくい傾向があります。よって自己資金でバックオフィスを数か月程度は維持できる位の運転資金は持っておくべきです。

経営者や経理担当者としては、工事毎に必要な運転資金、バックオフィスの運営に必要な運転資金はそれぞれ分けて管理しておいた方が良いでしょう。

【建設業の運転資金と資金調達】

では、上の方法で工事別の運転資金、バックオフィスのための運転資金をきちんと計算した上で未来に資金が足りなくなることが判明した場合どのような対策をとれば良いでしょうか。

まず、考えられるのは銀行融資です。ただし銀行と交渉するためには返済原資を明確にする必要があります。返済原資とはすなわち各工事の売上のことを指すので、各工事でどの位のキャッシュイン、キャッシュアウトが見込まれるのかをきちんと整理した上で交渉した方が良いでしょう。

他に考えられる方法としては手形割引やファクタリングなどの方法が挙げられます。特に売掛金が発生してから現金化までに時間がかかることの多い建設業では、特に売掛金や受取手形は多いと考えられます。手形割引やファクタリングを利用することによって現金化のスピードを早めてキャッシュフローを円滑にすることができます。ただし、銀行からの資金調達と比較すると資金調達コストが高めになりやすいので注意してください。

また、先ほど説明したとおり建設業界では特に連鎖倒産に注意する必要があります。連鎖倒産に備えるために危ないと思われる取引先の債権については保証ファクタリングを行っておいた方が良いでしょう。保証ファクタリングとは売掛先や手形の代金を取引先が払うことをファクタリング会社が保証するファクタリングです。万が一取引先が倒産してしまった場合でも債権の保証ファクタリングを掛けていれば、ファクタリング会社が取引先に代わって代金を支払ってくれます。債権の保証ファクタリングをつける場合は保証料が必要となりますが保証料の3分の1については助成金を貰って支払うことができます。

どの資金調達を利用するにしても一番重要なことは資金状況を経営者や経理担当者が知っていて問題が発生しそうならば早めに手当てすることです。

【最後に】

以上のように建設業の運転資金の計算方法と資金調達について説明してきました。建設業は景気の影響を受けやすく、業績が安定しにくいので融資を受けにくい業界の1つです。また、手形や売掛金での取引が多く、大手ゼネコンを頂点としたピラミッド構造で仕事をしている業界なのでピラミッドの上の企業が倒産すれば下に企業に連鎖倒産が発生しすい傾向があります。

よって、建設業の企業は自社を防衛するために日頃から運転資金をきちんと管理しておく必要があります。運転資金を計算する際のポイントは、各工事別に必要な運転資金、バックオフィスを運営する共通の運転資金を区別して必要な運転資金を算出することです。特に建設業は実際に帳簿上の売上や経費が発生するタイミングと実際にキャッシュイン・キャッシュアウトが発生するタイミングが大きく異なることが多いので、税務署に提出する帳簿だけではなく資金繰り表もきちんと記録して経営者や経理担当者が早めに対策を打てるようにしておくことが必要です。

資金の不足が判明した場合、銀行融資やビジネスローンなどの資金調達も行えますが、そもそも資金の循環スピードに問題がある場合は、手形割引やファクタリングなどを利用してキャッシュフローをよくすることも有効です。また、特に連鎖倒産に備えるために危なそうな取引先への債権については保証ファクタリングを行ったほうが良いでしょう。

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